引越しそばはいつできた?その由来と意味

「引越しそば」という言葉を聞いたことのないひとはいないと思います。しかしこの引越しそば、
そもそもいつくらいに、どうしてできたのでしょうか。

引越しそばというのは、実は今より数百年も前、江戸時代に生まれた習慣だと言われています。

「16文そば」という言葉があるように、そばは昔から安価で、庶民の味方とされてきました。
(諸説ありますが、1文は現在の貨幣価値でいうと、10円ほどだそうです。ただし、いろんな意見があって、中には「30円くらい」、「70円くらい」とする説もあります。一般的には10円~30円と考えることが多く、16文そばは500円を超えない、ということですね)
そのため、手軽に誰にでも配ることができた、と考えられています。

なぜそばを配るのか

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そもそも、どうしてそばを引越しのときに配るのでしょうか。

これは大みそかに年越しそばを食べるのと一緒で、
「これからも、末永くお付き合いをお願いします」という意味合いが込められています。
(ちなみに年越しそばの由来にも諸説あります)
また、蕎麦=そば=側ということで、
「お側に引越してきたのでよろしくお願いします」という意味が込められている、
という説もあります。

引越しそばの今昔~昔編

引越しそばの歴史は江戸時代にまでさかのぼれる、というお話はしました。
しかし江戸時代に、本当の「食べるそば」「食品としてのそば」を差し入れしていたか、
と言われると、実はそれも微妙なのだそうです。

というのは、当時の食品加工技術は今ほど発達していませんでしたし、食品衛生のことや、
また七輪が一家に一台なかったことを考えると(昔の時代小説などを読んでいると、
「長屋住まいなのに、あそこの家は自分の家で七輪を買ったから、
きっと何か臨時の実入りがあったのだろう」という表現に出くわすことがあります)、
確かに生もののそばを差し入れするのはそれほど現実的ではないように思われます。
そのため、実際には「蕎麦切手」と呼ばれる商品券を渡していた、と考えるのが普通です。

これは今の食券のようなものであり、お店に出すとそばがでてくる、というものです。

引越しそばの今昔~現代編

現代でも、引越しそばの文化というのは、
「失われつつある文明」と言っても過言ではなくなってしまいました。
私も18回引越しをしましたが、引越しそばを差し入れしたことはありません。
どうしてものびてしまうし、相手の家族構成もわからないからです。

近所に挨拶回りをするのは、とても重要です。
特に一軒家を買って引越しするというのであれば、「行き過ぎかもしれない、
と思われるくらい行っておいた方がいい」というのが定説です。

しかしその際も、引越しそばなどではなく、お茶や乾物、タオルなどが主流になっています。
これらは腐りませんし、比較的好き嫌いの少ないものだからです。

こうして考えると、「引越しそば」という風習は非常に面白くて不思議なものです。
この考えが生まれた江戸時代も現在も実際には用いられておらず、
引越しそばが「活躍した」時代は非常に少ないのに、誰もが引越しの挨拶の代名詞として思い浮かべるものなのですから。

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